電子カルテを導入する病院は年々増えています。今や、紙のカルテのみで運用されている病院はあまり多くはないでしょう。一方で、「ウチは電子カルテをしっかりと活用できている!」と自信を持って言えるお医者さんは、どれくらいいらっしゃるでしょうか。
都内の中規模病院「A病院」は、これまで紙のカルテでの対応を続けてきましたが、ついに電子カルテの導入に踏み切りました。しかし、現場としては特にシステム化の必要性は感じていない様子です。
「システム化で現場が楽になるとは限らない」「現場の阿吽(あうん)の呼吸でやってた部分はどうするんだ」と、導入に反対の立場をとっているあるお医者さんから、「本当に病院のシステム化は必要なのか意見がほしい」と、ドクターアバター絹川に相談がありました。
お医者さんのお話を聞く中で、その心配の中心が「システム化することで、むしろ現場の運用が複雑になるのでは?」という部分にあることがわかりました。実際、システム導入後、オペレーションが煩雑になり効率が落ちた、という話もよく聞きます。
そこで絹川は、「オペレーションの部分的なシステム化」を勧めました。たとえば、「カルテ管理はシステムで行うが、患者さんに渡す誘導表は紙のままで運用」といった形です。
絹川の提案を受け、A病院では全オペレーションの棚卸しを実施。どの部分をどの程度システム化すべきかを改めて検証し、「部分的なシステム化」を採用しました。結果、システムによる効率化と、アナログによる柔軟性を両立したオペレーションを実現されています。
こういったケースは往々にして、「システム化=すべてのオペレーションをシステム化しなければならない」という思い込みが原因です。紙の方が効率的な部分まで、無理にシステムに適用させる必要はないのです。